結婚式に招かれたとき、会費制の結婚式でない限りはご祝儀を持っていきますよね。ところでそのご祝儀、どうやって持っていっていますか。
ほとんどの人がご祝儀袋にご祝儀を入れて、さらにふくさに包むということは知っていると思います。でも、ご祝儀袋に直接お金を入れている人はいませんか?
ふくさの包み方は適当ではありませんか?
実はこれらはマナー違反。ひとつひとつを改めて見直してみると、案外正しいマナーを知らなかったことに気が付くかもしれませんよ。ここではお金を入れる中袋やお金の入れ方、ふくさの包み方、そして中袋やふくさがなかったときの対処法を紹介します。
ご祝儀袋に中袋は必須?書き損じたらどうしたらいい?
ご祝儀袋を購入すると白い封筒が一緒に入っていることがあります。
これは「中袋」と呼ばれているものですが、この中袋はどのように使用するものなのでしょうか?
もし使用する場合はどのようにすればいいのかについて説明していきたいと思います。
中袋なしでお金をご祝儀袋に入れるのは絶対NG
ご祝儀袋は袋と名が付くだけあって、そのままお金を入れても一見問題がなさそうな見た目をしています。ところが、ご祝儀袋は通常1枚の紙を折りたたんで作られています。
のり付けなどはされていないので、直接お金を入れるとするりと落ちてしまう可能性があります。
最近よく見るデザイン性の高いご祝儀袋も基本的には底にのり付けなどはされていません。昔ながらのご祝儀袋と同じようにお金が落ちる恐れがあります。
またご祝儀袋には表書きに名前を書くものの、包んだ金額や住所などは特に記入しません。すると清算するときに新郎新婦に余計な手間をかけさせてしまうことになってしまうかもしれません。中袋はそんなリスクを無くしてくれるアイテムです。 ちなみに中袋の記入もご祝儀袋の表書きと同じく筆ペンを用いるのがマナー。
とはいえ、金額はともかく住所や名前は少し字が細かくなるので、筆ペンでは書きづらいかもしれません。そんな時には細字のサインペンでもいいですよ。住所氏名も万年筆やボールペンで書くのは失礼にあたります。当然かすれたりインクが薄くなったりしている筆ペンは使ってはいけません。
ご祝儀袋の中袋はのりで閉じたほうがいいの?
中袋はお金を直接入れるだけにしっかりとのり付けして封をしたくなりますよね。でも基本的にご祝儀袋の中袋はのりで閉じる必要はありません。むしろのりで閉じない方がいいとされているほどです。
結婚式終了後、新郎新婦はたくさんのご祝儀を確認することになります。その時に中袋がのりで閉じられていると新郎新婦の手間が増えてしまうという理由からのようです。
ただし親戚に贈るご祝儀などで金額が大きい場合は中袋に単にお金を入れるだけでは心もとないことがありますよね。そんな時にはのりで中袋を閉じても失礼にあたるということはありません。のり閉じをする際にはのりがお金やご祝儀袋につかないよう、しっかり乾いてからご祝儀袋にお金を入れた中袋を入れるようにしましょう。
「中袋に書き損じた」「中袋が入っていない」を回避する方法
たいていの場合、中袋はご祝儀袋1つにつき1枚が同封されています。つまり中袋を書き損じてしまっても予備分はないということ。
当然のことですが、ご祝儀袋の短冊同様ご祝儀袋の中袋は修正テープなどで修正することはできません。書き損じてしまったらその中袋は破棄することになります。また、まれにではありますが中袋なしで販売されているご祝儀袋があります。
そういった商品を購入してしまった場合でも中袋なしでご祝儀を贈るのは避けた方が賢明。では中袋がない場合はどのように対処したらいいのでしょうか。
市販の白い封筒を使用する
中袋には「この形、このサイズ」という明確な規定があるわけではありません。
お札が折らずに入れられる白無地の縦向き封筒であればいいのです。白無地の封筒は文房具店や一部のコンビニで買うことができます。ベストは「白無地金封」という封筒です。こちらはコンビニではほぼ見かけないので、できれば家にストックしておくと安心です。
白い封筒が入手できたら、あとは通常の中袋と同じく記入してから使用しましょう。
半紙かコピー用紙を使用する
白い半紙もしくはコピー用紙でお金を包み、中袋の代わりにすることができます。
むしろ、もともとは封筒ではなく半紙に包んでいたのでより正式とすらいえるこの方法。もちろん便利なのは中袋を使用する方ですが、半紙やコピー用紙を使用する方法を覚えておいて損はありません。
半紙などで代用する方法は以下のページをご覧ください。
マナーに差が付く!正しいふくさの包み方
ここでは「ご祝儀袋ってそのまま持っていったらダメなの?」「ふくさってどうやって使うの?」などについて説明していきたいと思います。
そもそも「ふくさ」って必要なの?
ご祝儀袋が用意できても、それで準備完了とはなりません。ご祝儀袋をふくさで包んで初めてご祝儀袋を持ち出すことができます。
「ふくさが必要な理由がわからない」「金封ふくさの場合はかさばる」などの理由でふくさを使わない人がいるようです。特に男性は礼服やスーツの胸ポケットにご祝儀袋を入れることが多く、少しでも持ち運びをコンパクトにしたいと考えるようです。
では、そもそもふくさはどうして必要とされているんでしょうか?
ズバリ、ふくさはご祝儀袋を運ぶ間に折れたり・汚れたりするのを防ぐためにあるんです。ご祝儀袋は渡すまできれいな状態を保つ必要があります。ふくさに包んでおけばちょっとした汚れや折れは防ぐことができますよね。胸ポケットに入れるならなおさらふくさは必要です。
汚れなければいいということでふくさではなくご祝儀袋を購入した際に入っていたビニール袋に入れなおして持っていく人もいるようです。
でもこれは見た目にもスマートではありません。さらにどうしてもガサガサビリッという音がでるので、ご祝儀袋を取り出す本人が思っている以上に悪目立ちしてしまうもの。何よりビニール袋はいわばゴミです。確かにビニール袋に入れてもご祝儀袋の汚れを防ぐことはできるかもしれません。
でも周囲の人に対して、ご祝儀袋を丁寧に扱っていないような印象を与えるのではないでしょうか。せっかくお祝いの気持ちを込めて用意したご祝儀、ふくさで正しい包み方をして披露宴会場まで持っていきたいものです。
「ふくさ」の種類はいろいろある
手ふくさ・小風呂敷
ハンカチのような1枚の正方形の布状のふくさ
つめ付きふくさ
手ふくさの角の1つに留め具のつめが取り付けられているふくさ
台付ふくさ
手ふくさにご祝儀袋をセットする台が取り付けられているふくさ
金封ふくさ・はさみふくさ
袋状になっているふくさ
「ふくさ」とはもともと貴重品入れの上ににほこりよけのために掛けられていた布のことです。その由来から、すでに袋状になっている「金封ふくさ」よりも「手ふくさ」などの布状のふくさが正式なものとされています。
でも金封ふくさでもマナー上失礼ということはありません。むしろ「手ふくさ」よりも簡単に包むことができるので年代を問わずおすすめできます。
「手ふくさ」や「つめ付きふくさ」は「金封ふくさ」よりも生地が薄く、かさばらないというメリットがあります。
さらに受付でご祝儀袋を取り出したあとは小さくたたむことができるので便利です。
ご祝儀袋の包み方(手ふくさ・つめ付きふくさ・台付きふくさ編)
- つめ付きふくさの場合はつめが向かって右側に来るよう置く
- 台付きふくさの場合は台が縦向きになるように置く、つめもついている場合はつめが右側
- 台が慶弔両用になっているときには不祝儀の方向を上にして置く(慶事用の色がふくさ側)
- 台付ふくさの場合は留め具でご祝儀袋を台に固定する
- つめ付きふくさの場合は留め糸につめを掛ける
手ふくさの包み方で注意したいのはふくさをたたむ順番です。
お祝い事の場合、ふくさは左→上→下→右の順でたたみます。これが左→下→上→右の順、つまり上側が下側に重なる形になると不祝儀のふくさの包み方になってしまうんです。受付でふくさからご祝儀袋を取り出す時には包み方も見えてしまうもの。
細かいと思えるかもしれませんが、確認したいポイントです。
ご祝儀袋の包み方(金封ふくさ編)
- 金封ふくさを右側開きになるように置く
- ご祝儀袋の表側と金封ふくさの表を合わせてご祝儀袋を入れる
- 金封ふくさを閉じる
- 準備完了
手ふくさよりもずっと簡単ですね。ただし金封ふくさでもふくさの向きには注意が必要です。
左側開きになるようにしてしまうと弔事の際の包み方になります。金封ふくさは手ふくさ以上に他の人から見たときにご祝儀袋の向きが分かりやすいもの。金封ふくさは簡単便利だからこそ油断せず包み方に気を付けたいところです。
「ふくさ」がないときのご祝儀袋の包み方
若い人だとふくさをまだ用意していないということがあるかもしれません。ふくさは決して高いものではありませんし、一度買えば長く使えるものなのでぜひ購入をおすすめしますが、ふくさの用意を忘れてしまうこともあるでしょう。
ふくさなしでご祝儀袋を持っていくのは失礼にあたります。ふくさがない時にはきれいなハンカチをふくさの代わりにします。 用意するのは白や淡く明るい色合いのハンカチです。タオルハンカチなどは適しません。また黒やグレーのハンカチも避けましょう。黒やグレーのふくさは不祝儀で用いられます。ハンカチでふくさの代用をする場合もふくさのマナーに沿って用意をしていきます。
逆に明るい色であれば多少の柄や刺繍が入っていても大丈夫です。とはいえ、あまり子どもっぽい柄などは避けましょう。できれば光沢やハリがある素材のハンカチだとふくさなしでご祝儀袋を持ってきたとは一見分からないはず。
「ふくさ」がない場合の対策!ハンカチでご祝儀袋を包む方法
- ご祝儀袋の右側がハンカチの中心にくるようにする
- ハンカチが大きめの場合は心持ち下寄りにご祝儀袋を置く
- ハンカチが大きい場合は角をご祝儀袋の下に入れ込む
- ハンカチが大きい場合は角をご祝儀袋の下に入れ込む
- 角が余る場合は3からやり直す
- 余りがなくなるまでくるりと巻いていく
手ふくさでの包み方とほとんど変わりはありません。ただ、一般的なふくさよりもハンカチが大きいことがあります。角を入れ込むなどして見た目がすっきりするように包めるといいですね。
お金をご祝儀にする ご祝儀袋へのお金の入れ方総まとめ
例えお金を用意しても、それだけでは結婚をお祝いするご祝儀として相手に渡すにはそぐわないといえるでしょう。マナーに則ってご祝儀袋にいれてこそ、ご祝儀です。ご祝儀袋へのお金の入れ方とふくさの包み方をまとめました。
ご祝儀袋へのお金の入れ方まとめ
- 中袋を書き損じたり、万が一ご祝儀袋に同封されていなかったりした場合は半紙やコピー用紙でお金を包む
- この時お札の表と中袋の表を合わせる
中袋の表とご祝儀袋の表を合わせる。中袋はのりなどで閉じなくてよい
- 普通のふくさやつめ付きふくさ、台付ふくさは向かって左→上→下→右の順でふくさをたたむ。金封ふくさは向かって右向きに開いてご祝儀袋を包む
まとめ
ご祝儀袋や中袋、ふくさをすべて用意してマナー通りにスムーズに準備するのは、慣れるまでは少し大変かもしれません。
でもせっかくお祝いの心を込めて用意するご祝儀です。マナーに沿うことでお祝いの気持ちを新郎新婦により強く伝えることができるなら、その方がいいと思いませんか。中袋がない、書き損じた、あるいはふくさがないなどのイレギュラーが発生してもそれぞれ対処法はあるので大丈夫。
できればあらかじめ対処法を知っておくと、想定外の事態が発生しても落ち着いて対応できます。ご祝儀袋の入れ方のマナーは完璧と思っている人も、もう一度おさらいしてみてはいかがでしょうか。